「先生」と私の出会いは鎌倉・夏の海。「先生」は豊富な知識がありながら仕事には就かず、東京で奥さんとふたり暮らし。幸せそうだけど違和感のある夫婦。
「恋は罪悪ですよ…」
「先生」は毎月ひとりで墓参りをする。
その理由はわからない。
明治天皇が崩御。父の見舞いのために帰省していた私に「先生」の過去と苦悩が記された長い手紙が送られてきた。「先生」の学生時代の友人「K」は恋敵。のちの奥さんとの三角関係。勝つために「先生」がとった卑怯なかけひき、負けた「K」がとった行動…その理由を奥さんは知らない。
先生はずっと過去を悔やみながら、奥さんと結婚生活を営んでいたのだ。
「私は他人を信用して死にたい…あなたはそのたった一人になれますか?」
私
目標もなく怠惰な生活を送る学生。鎌倉で出会った先生に心惹かれていく。
先生
世間を拒絶し、仕事にも就かず、妻と隠居生活を送る。孤独な思想家。
K
先生の友人。「道」を極めることに没頭する求道者。仕送りを断たれ困窮する。
静
先生とKの下宿先のお嬢さん。ほがらかな人柄で先生とKを癒す。不器用。
奥さん
下宿先の女主人。静の母親。毅然とした性格の面倒見のいい女性。
夏目漱石(1867〜1916)
帝国大学英文科卒業後、中学校教師などを経てイギリス留学。帰国後、教鞭をとる傍ら作品を発表。朝日新聞社入社後は本格的に職業作家となるが、晩年は胃潰瘍と糖尿病に悩まされ『明暗』で絶筆となった。その他『坊っちゃん』『夢十夜』等。
関連作品
『明暗』夏目漱石
※漱石の絶筆となった未完の長編
『破戒』島崎藤村
※同時代の漱石を脱帽させた自然主義の傑作
『それから』夏目漱石
※働いたら負け?ニートが思い知る真実とは
バラエティ・アートワークス
「まんがで読破」シリーズの制作を目的に設立された著作会社。その他『歴史秘話ヒストリア』『タイムスクープハンター』漫画版および第5期TVドラマ脚本協力(NHK/ピクス)等。2013年に解散。現在は後身のTeamバンミカスがシリーズを継続。