「先生」と私の出会いは鎌倉・夏の海。「先生」は豊富な知識がありながら仕事には就かず、東京で奥さんとふたり暮らし。幸せそうだけど違和感のある夫婦。
「恋は罪悪ですよ…」
「先生」は毎月ひとりで墓参りをする。
その理由はわからない。
明治天皇が崩御。父の見舞いのために帰省していた私に「先生」の過去と苦悩が記された長い手紙が送られてきた。「先生」の学生時代の友人「K」は恋敵。のちの奥さんとの三角関係。勝つために「先生」がとった卑怯なかけひき、負けた「K」がとった行動…その理由を奥さんは知らない。
先生はずっと過去を悔やみながら、奥さんと結婚生活を営んでいたのだ。
「私は他人を信用して死にたい…あなたはそのたった一人になれますか?」