カラマーゾフの兄弟

19世紀後半・ロシア。
汽船と鉄道と自由主義の時代。

農民が貴族たち領主の所有物だった悲惨な「農奴制」の時代が終わり、西欧からの産業革命によってロシアでも近代工業化が進められた。

自由は謳われた。
かつての農奴もようやく自分の土地を持てたが、結局それは貴族が高利で貸した土地であり、皇族と貴族たち特権階級のみが潤う不平等な社会はそのままだった。

人々は何によって救われるのか？

これはカラマーゾフ家の三男
アリョーシャの青春時代の物語である。

アリョーシャ(アレクセイ)
カラマーゾフ家の三男。信仰心の篤い純真な青年。修道院で暮らしている。

ミーチャ(ドミトリー)
カラマーゾフ家長男。退役将校。気性が荒く遊び好きで借金を抱えている。

イワン(ワーニャ)
カラマーゾフ家の次男。厭世的なインテリで無神論者。モスクワ在住。

フョードル
カラマーゾフ三兄弟の父親。無一文から財産を築いた強欲で淫蕩な男。

グルシェンカ
男をもてあそぶ妖艶な美女。ミーチャとフョードルをとりこにする。

カテリーナ
知的で強い自尊心を持つ美女。ミーチャの上官の娘でミーチャと婚約する。

スメルジャコフ
カラマーゾフ家の使用人でイワンの思想に心酔している。卑屈で臆病者。

ゾシマ長老
アリョーシャの恩師。修道院の聖人君子と称され、人々に崇拝されている。

ドストエフスキー（1821〜1881）

19世紀ロシア文学の巨匠。モスクワ出身。処女作『貧しき人々』で華々しく文壇デビュー。その後、空想社会主義との関与でシベリアに流刑となる。出獄後は賭博による借金に追われ亡命するなど、過酷な作家生活を送った。晩年の代表作『罪と罰』『悪霊』『白痴』『カラマーゾフの兄弟』『未成年』は五大長編と呼ばれる。

関連作品

『罪と罰』ドストエフスキー
※殺人は悪か？帝政末期に生まれた正義の怪物
『悪霊』ドストエフスキー
※ロシア帝政末期の混乱を描いた猛毒作品
『神曲』ダンテ
※キリスト教以後の宗教観による死後の世界

バラエティ・アートワークス

「まんがで読破」シリーズの制作を目的に設立された著作会社。その他『歴史秘話ヒストリア』『タイムスクープハンター』漫画版および第５期TVドラマ脚本協力(NHK/ピクス)等。2013年に解散。現在は後身のTeamバンミカスがシリーズを継続。