東北の大地主の息子・大庭葉蔵の手記と3枚の写真…そこに記された孤独な生涯。
【第一の手記】
「人間がわからないのです」周囲を欺き道化を演じた少年時代。大人たちの残酷な犯罪にも力なく笑うだけ…やがて葉蔵は拒否することのできない青年へと成長していく。
【第二の手記】
道化を見抜かれた中学時代。「弱虫は幸福さえおそれるのです」画家への道に目覚めるが、父の言いつけに背けず東京の高等学校へ進学。そこで酒・煙草・女・左翼思想に溺れ、人妻と心中未遂を犯す。
【第三の手記】
破滅的な青春で得た「世間とは個人」という気づき。無垢な女性との結婚によってひと時の幸福をつかむが、ある事件から恐怖と絶望が再び湧きあがる。アルコール・薬物中毒…その結末は…
大庭葉蔵
大地主の息子。人に嫌われることを恐れ、道化の自分を演じ続けている。
竹一
中学生時代の同級生。葉蔵の道化を見抜いて「悪魔の予言」を告げる。
ツネコ
カフェの女給。夫は服役中。まわりから孤立して侘しく生きている。
シヅ子
雑誌の編集者。同居人の葉蔵に漫画の寄稿を勧める。シングルマザー。
ヨシ子
タバコ屋の娘。純真な心の持ち主で、葉蔵に求婚され妻となるが…。
堀木正雄
東京の下町育ち。上京した葉蔵にいろいろな「遊び」を教える道楽仲間。
太宰治(1909〜1948)
小説家。青森の大地主・津島家の六男。芥川龍之介に心酔。東大仏文科の除籍や女性関係で数度の自殺・心中未遂、薬物中毒など、乱れた生活を送る。その後、井伏鱒二の紹介で結婚。妻の支えで再起し、多くの名作を発表する。戦後は『斜陽』が大評判となり流行作家となるが、愛人と玉川上水で入水自殺。『人間失格』は遺稿。その他『走れメロス』『グッド・バイ』等。
関連作品
『斜陽』太宰治
※愛人をモデルに戦後の没落貴族を描いた
『或阿呆の一生』芥川龍之介
※太宰を驚嘆させた文壇の寵児による告白
バラエティ・アートワークス
「まんがで読破」シリーズの制作を目的に設立された著作会社。その他『歴史秘話ヒストリア』『タイムスクープハンター』漫画版および第5期TVドラマ脚本協力(NHK/ピクス)等。2013年に解散。現在は後身のTeamバンミカスがシリーズを継続。